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「環境問題って、なんだか難しそう」「何をしたらいいのか分からない」そんな人にぜひおススメしたいのが、今回ご紹介する鈴木さんが運営するウェブサイト『greenz.jp』だ。
昨年6月にスタートした『greenz.jp』は今年9月末に全面リニューアル。世界中のニュースから厳選した最新の面白いエコ情報が手に入るとともに、
みんなで持続可能なライフスタイルを作り上げていける、オープンなメディアだ。
鈴木さんは2030年までに「エコで持続可能で平和でわくわくする社会」=エコスゴイ社会の実現を目指しており、それは不可能ではないと言う。
いったい、エコスゴイ社会ってどんなものなのか、そして、その実現のために私たちが今すぐできることとは何なのか。早速、お話を伺ってみた。
文/山口 取材/2007年10月3日

■プロフィール
1976年バンコク生まれ。イギリス人の父と日本人の母を持つ。6歳より東京で育つ。2002年より3年間「月刊ソトコト」にて編集・営業として勤務。
05年に独立、以後アースデイ東京公式ライフスタイルガイドブック「地球の日の歩き方」を編集。
06年「エコスゴイ未来がやってくる」をテーマにしたメディア「greenz.jp」を公開。
07年グリーンズLLP設立。代表に就任。
各媒体へのエンタメ系環境ニュースの提供、企業の環境マニフェストや環境・サステナビリティをテーマにした紙媒体の編集・ディレクション、
社会的キャンペーンのディレクションなどを手がける。
――まず、このサイトを立ち上げたきっかけや思いについて教えていただけますか。
今、どう考えても社会は行き詰っていますよね。地球の石油はあと約40年分しか残っていないといわれているし、温暖化はどんどん進行しているし。
最近は、持続可能な社会に向けて、何かしなければと危機感を持ち始めている人も増えていると思います。
でも世界をみれば、既に個人、家族、会社、コミュニティ、国家などのさまざまな単位で持続可能な社会を実現していたり、
持続可能な社会づくりのために頑張っている人々が星の数ほどいるんですよ。なのに、日本にはそういった「いいニュース」が全然伝わってこない。
朝テレビをつけると、殺人事件とかネガティブな情報ばかりで気分が悪くなるじゃないですか。
メディアって影響力の大きいものだから、メディアには、もっといい社会を作っていくための情報を発信する社会的な責任があると思うんですよ。
だから、既に持続可能な社会を実現している人や組織のポジティブな情報を発信することで、「そういう社会って可能なんだ」「持続可能な社会って楽しそう」「自分にもできるかも」というように、たくさんの人の意識を少しずつ、いい方向に変えていきたい。そして、それを自分の生きる糧としていきたい。
そんな思いから、『greenz.jp』を立ち上げたんです。
――今回サイトが大幅にリニューアルしましたが、リニューアルのポイントを教えてください。
最大限に社会を変えていくためには、一人ひとりがどれだけ周りの人たちにメッセージを広げられるかがポイントだと思います。だから、新しい『greenz.jp』では誰でも気軽に参加できて、自分から社会を変えていけるような、いわばNPO的、web2.0 的なオープンなサイトにしました。
例えば、greenz wikiは、エコスゴイ暮らしに役立つ/すぐ行動を開始できる情報が集まった「21世紀のライフスタイル・ガイドブック」をみんなでつくっていこう、
というプロジェクトで、誰でも自由に書き込んだり、改変することができます。
他にも、greenzブログパーツをブログに張れば、閲覧数に応じてカーボンオフセット(※1)できたりと、
ユーザー自らが参加できる仕組みがたくさんあります。
――毎月第1木曜日に行う、誰もが参加できる呑み会「green drinks」もすごく楽しそうですね。
ネットのつながりもあるけど、世の中を変えるのは人のつながり。だから、オンラインもオフラインも両方のつながりを大事にしていきたいなと思っています。
――『greenz.jp』には、2030年までに「エコで持続可能で平和でわくわくする世界」=エコスゴイ世界の実現を目指しているとありますが、「エコスゴイ社会」って一言でいうとどんな社会なんですか。
あらゆるムダがない社会ですね。まず、エネルギー効率が良い。そして、人間のムダな行動がない。
つまり、みんなが幸せのために生きることができます。
人間のムダな行動の最たるものは戦争だと思うんですけど、戦争がなくなれば、軍事費が必要なくなるから、ムダな税金を払う必要がない。
2005年の世界の軍事費の合計は1兆400億ドルです。このお金があれば、世界のあらゆる問題を解決できると言われています。
地球上に埋まっているすべての地雷を撤去して、すべての砂漠化を防止して、世界で飢餓に苦しむ8億人に1年分の食料を援助する……まだまだあります。
軍事費の半分でもあれば、余裕なんです。
また、「エコスゴイ社会」とはストレスがない社会のことです。
人類全体が、仕事のし過ぎだと思うんですよ。未来は今のバリ島の人々のように、午前中働いて昼過ぎからはガムランの練習をするというような、
ゆとりがあり、文化的、人間的で環境的負荷のきわめて低い社会になるでしょう。
――持続可能な社会を目指すとき、「今の生活水準を保ちつつ、できる限り無駄をなくす」考え方と、「生活水準が下がっても、江戸時代に戻るような覚悟でとにかく消費をやめる」考え方がありますが、鈴木さんはどちらに近いですか?
両方です。人類は今よりもずっと便利に、しかし環境的にはまったく負荷がない世界をつくれます。
すべてが極限まで効率良くなっていく。水素で飛ぶ飛行機、空気で走るクルマ、誰でもどこでも、水から水素エネルギーを作り出す技術、
すべてすでに開発が始まっています。もちろん、すべてが極限に便利になるということでもないと思います。
「昔、野菜はいつの季節も食べられたけど、とてもまずかった」と言われるようになるのではないか。
また、環境に悪い物ほど、強烈に値段が高い世界になる。ガソリンの本当の価格は1000円とも言われています。
また、近い未来ではCO2が、もう少し未来では、持続可能性が通貨になっていると思います。
――効率というと、最近誰もがエネルギーを作れる技術が開発されつつありますが、将来実現の可能性がありそうなものって何ですか?
一番可能性があるのは、水素だと思います。水があれば電気ができてしまうという技術なんですが、10年以内には非常に安いコストで水素が作れるようになるはずです。
相対的に石油の価格がものすごく高くなるので、経済的に成り立つはずなんです。
水素を作るためには電気が必要ですが、太陽光や風力発電の効率もぐんぐん上がってきています。
――それが実現すれば、どんな影響が予想されますか。
今、中東にエネルギー源が一極集中していますよね。
エネルギーがお金に結びついているから、その権利の奪い合いで戦争が起こり、多くの人が亡くなっている。
でも、誰でも自分でエネルギーが作れるようになれば、そんな争いは必要なくなるわけです。
平和活動も重要ですが、新エネルギーの研究や普及に取り組んだほうがかえって早く平和に近づくかもしれません。
――なるほど。それだけエネルギー問題は重要なんですね。
ところで、あまり環境問題について詳しくない人でも、環境のために身近に実践できることがあれば教えていただけますか。
そうですね。私が実際にやっていることを挙げてみると、自転車通勤、すべての電池を充電式の電池に換えること、オーガニック野菜を食べることです。
特に自転車通勤は、朝の満員電車を避けられるし、なんといっても風を切って走るのがすごく気持ちがいい!
おまけにジムに行かなくても体重は落ちたし、電車賃はうくし、腰痛も治ったし本当にいいこと尽くしです。
みんなも楽しいから乗ればいいのにって思いますよ。(笑)電池は楽だから、だし、オーガニック野菜は、ただ単においしいからです(笑)。
――確かデンマークって、自転車通勤率がかなり高いらしいですね。日本とは何が違うんでしょうか。
全部違いますけど、まず違うのは行政の対応ではないでしょうか。
デンマークのコペンハーゲンでは、道という道には100%自転車専用道路があるし、オランダでは自転車を購入すると行政から補助金が出るんですよ。
それに比べて日本は車優先の社会を引きずったまま。京都議定書で日本はCO2マイナス6%が目標とされているけれど、
その達成には自転車がひとつのキーになってくるはずです。
マイナス6%を達成するためには、本当にあらゆることをしていかなければいけない。
でも、それって不可能じゃないんです。世界のニュースを見ればわかるように、やれることはたくさんあるのにやっていないだけ。
やれることをやれば、マイナス6%なんて余裕だと思いますよ。
というか、日本は2050年までに90%削減しなければいけないんですから、6%くらいでヒーヒー言ってる場合じゃありません。
――他にやれることっていうと、どんな例が挙げられますか。
例えば車を全く使わないことは無理だと思うけれど、台数を減らすことはできると思います。
アメリカ等で盛んですが、横浜や福岡でもやっている、カーシェアリング(※2)はいい例だと思います。
また、日本では札幌やつくばでやっているパーク&ライド(※3)や、都市への交通の流入量を規制するロードプライシングも
ドイツ、イタリア、スウェーデン、イギリスなどで始まっています。
パリやバルセロナなどではカーシェアリングならぬ自転車シェアリング「コミュニティバイシクル」が成功しているし、
日本もまだまだやれることっていっぱいあるんじゃないかな。
――ぜひ、そういった情報を『greenz.jp』からどんどん発信していってください!では、最後に今後の意気込みをお願いします。
いま、あらゆる技術革新がどんどん加速していて、人々の意識も同じようにどんどん変わっていっているという実感があるんです。
人の心も、いい方向へ変えられるはず。まだ小さなメディアだけど、多くの人の意識がいい方向に向かっていくきっかけを与えていきたいと思います。
自分ができる最大限のことは、それしかないと思うんです。
あなたにも世界は変えられる!ということです。それは、思ったよりもずっと簡単。 社会は変えられないけど、自分の周りを変えることはできますよね?それって、さざなみのように、かなり周りに影響すると思うんです。 あとは、とにかくとても面白くて楽しいから、もったいないよ!ということですね。
(※1) カーボンオフセット…カーボン(二酸化炭素)のオフセット(相殺)。人間活動で排出される二酸化炭素を相殺するために、CO2を排出しない再生可能エネルギーをつくったり、植林などでCO2の吸収源を増やしたりすることを通して、相殺をすること。
詳しくはこちら。
(※2) カーシェアリング…さまざまなクルマを共有することで、環境負荷を低くし、利便性を上げる仕組み。なかには電気自動車を選んだり、近くの車を自由に使え、自由に乗り捨てできるサービスも。
(※3) パーク&ライド…郊外に車を駐車して、都心へはバスや電車で移動すること。それがシステムとしてスムーズに連結されていること。
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