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ピース・インタビュー 企業編 Vol.1

手作りのぬいぐるみで、世界中の子どもたちに笑顔を。

株式会社フェリシモ/経営企画部 上野友紀

フェリシモは、CSR(企業の社会的責任)という言葉が意識される前から、事業の中で社会的な価値を生み出すことを追求してきた会社だ。同社が行っている社会貢献活動はメッセージ付きの商品を使った基金活動、フェアトレード商品を扱うことによる自立支援活動など多岐にわたる。なかでも、手作りのぬいぐるみを子どもに贈る「ハッピートイズプロジェクト」は1997年からスタートし、今年で11年目を迎える。毎年違うキャラクターの型紙(布付き・なし)を販売し、ボランティアの参加者が作ったぬいぐるみを、クリスマス時期に国内外で展示した後、世界中の子どもたちに届けるというプロジェクトだ。

このプロジェクトが10年間でもたらしたこと、そして、フェリシモが企業としてどのように社会と関わっているのか、社会文化活動担当の上野さんにお話を聞いてみた。
文/山口 取材/2007年7月3日

■プロフィール
株式会社フェリシモにて、広報業務とともに顧客参加の社会文化活動担当を11年、現在、フェリシモが運営する基金の事務局をつとめる。ハッピートイズプロジェクトには、初年度より、主にぬいぐるみの寄贈担当として参加。最近は、寄贈だけでなく、プロジェクト全体に携わる。


――「ハッピートイズプロジェクト」を始めたきっかけは何ですか?
フェリシモという会社は、創業当時から「お客様と一緒に何かを作り上げる」ということに取り組んできた会社です。例えば、30年ほど前からお客様と一緒に商品を開発したり、商品のコピーを考えいただいて一緒に通販カタログを作ったり。

そうした流れで、10年前に「次はお客様と一緒に何ができるか?」と考え、どの家庭にもある布のはぎれを集めますと呼びかけました。集まった布を使って、ぬいぐるみを作り、当時震災の被害を受けた神戸の子どもたちに笑顔をプレゼントしようという想いからこのプロジェクトがスタートしました。

最初の3年間は、まずお客様から布を集めて、その布を使って作ってくれる人を募集していたんですが、途中から現在のように型紙を販売するようになりました。型紙を導入したことで、家庭にある好きな布を使って誰でも簡単に作れるようになり、また、一人でいくつでも作っていただけるようになりました。そして、ぬいぐるみの贈り先も神戸だけでなく、新潟など国内の災害にあった子どもたちや、海外の発展途上国の子どもたちへと広がっていきました。

――毎年2000個以上のぬいぐるみが参加者から送られてくるそうですが、どのような方がこのプロジェクトに参加されているんでしょうか?
小学生のお子さんから70代のおばあちゃんまで、年齢層は幅広いです。型紙は一緒でも、布によって表情が変わるので、1人で何体も作る方も多いんですよ。1人で19体も送っていただいた時はびっくりしましたね。

もともとフェリシモの商品の中でも、お客様が自分で作り上げる楽しみをお届けする「手作りキット商品」は人気が高いのです。また、フェリシモではこれまでさまざまな形で、社会貢献企画をお客様に呼びかけてきました。そうした土壌によって、これだけ多くの方がこのプロジェクトに参加していただけたんだと思います。このような企画に積極的に参加いただける、暮らしに工夫をして、楽しみたい、という意欲的な方々が、今、フェリシモのお客様の中心となっています。

――参加者からは、どのようなメッセージが届いているんですか?
「子どもにせがまれて、子どもにももうひとつぬいぐるみを作った」という声はとても多く寄せられています。他にも、「いくつか近くの幼稚園にも寄付をした」とか「ぬいぐるみを使って、自分の子どもに、発展途上国の子どもたちの状況のことを語って聞かせた」「職場の仲間で一緒に作った」などというメッセージもいただきました。

一体のぬいぐるみから、どんどんこのプロジェクトの輪が広がっているのはとてもうれしいことですね。

――子どもたちに届けられるぬいぐるみには、さまざまな作り手の想いが込められているんですね。ところで、発展途上国の子どもたちには、実際に誰が届けているんですか?
日本のNGOの方々です。ここ数年で海外への寄贈を大幅に増やしていて、難民を助ける会、セーブ・ザ・チルドレン、日本国際ボランティアセンターなど、世界各国で活動をしている日本のNGOの方にお願いをして、子どもたちに届けてもらっています。団体によっては、ぬいぐるみを使って子どもに教育をしながら遊ばせているところもあるんですよ。

――それにしても、10年間もこのプロジェクトを続けられていることはとても大変なことだと思いますが、これだけ続けられている理由は何だと思われますか?
1つ目は、毎年参加する楽しさを提供し続けてきたことです。 毎年ぬいぐるみのキャラクターを変えて、誰が作ってもかわいいぬいぐるみが出来るように、商品開発専門のグループが型紙の開発に力をいれてきました。

2つ目は、カタログやインターネットを使って、ぬいぐるみを受け取った子どもが喜んでくれている姿を皆さんにお伝えしたことだと思います。

――やはり、毎年続けていくことは大変ですよね。企業としてこうした社会貢献活動を行う上で、大切なことは何でしょうか?
企業の社会貢献活動は、継続して行うことに意味があると思っています。そのために、事業活動そのものが社会に意味を持つようにすることが一番大事だと思います。例えば、会社の売上の中からこれだけを社会のために使って・・・、なんて考えていたら、売上が少なくなった時に社会のために何も出来なくなってしまいますよね。

私どもフェリシモの場合は、商品やサービスを介して、お客様と社会とをつないでいます。フェリシモでのお買い物体験を通じて、自然に社会貢献にも参加できる。そして、何でもそうだと思いますが、継続していくためには無理をしないことです。

更に重要なことですが、このプロジェクトは、企業1社ではコスト・労力を考えたら到底できないことです。でも、これだけ長く続けられているのは、たくさんの参加者や、NGOの方々のご協力のおかげです。こうした関係づくりは、単に1つのプロジェクトだけでは難しいですし、地道なことですが大切にしていきたいなと思っています。

――最後に、このプロジェクトをこれからどのようにしていきたいと思われますか?
ひとつの企業の枠を超えて、「手作りのぬいぐるみを作って子どもたちに贈る」ということがひとつの文化になれば素敵だと思っています。すべてに私たちが関与しなくても、個人が、そしてNGO等が中心となってこういった活動を広げてくれたらうれしいです。

――ありがとうございました。

上野友紀さんより、記事を読んでいただいた方へのメッセージ

誰もが、社会に対して、何かできる力を持っています。その力はそれぞれ違うから、たくさんの人が集まると、大きな力になります。フェリシモで最初にはじめた一口100円の森づくりの基金は、森をつくるだけでなく、人々の気持ちを掘り起こして、更に豊かな活動へと広げていくことができました。きっかけは小さなことかもしれませんが、その小さなことが大事な時代だと思います。自分の可能性を未来の可能性と重ねていけるような生き方をしたいですね。


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