ホーム > 世 界を知ろう! > ピース・インタビュー 企業編 >アメリカン・エキスプレス・インターナショ ナル,Inc./ 広報室 室長 エディ 操
1850年に創業したアメリカン・エキスプレス(アメックス)は、創業当時から歴史的遺産
の保全や修復を行ってきたという。それから1世紀以上後の1983年にアメックスが行った
自由の女神の修復キャンペーンは、史上初の大規模な寄付を絡めたマーケティングキャン
ペーン(コーズ・リレーティッド・マーケティング(Cause Related Marketing))として有名だ。カード利用額1回につき1セントを寄付するというもので、大変な反響があったそうだ。
今でこそ日本では企業の社会的責任(CSR)が叫ばれ、売上の一部を寄付するような動きが活発化してきているが、それを四半世紀前には手がけていたアメックスとは一体どのような会社なのか。お話を伺った。
文/関根健次 取材/2007年12月19日

■エディ 操さんのプロフィール
広報専門会社、電通バーソン・マーステラにおいてコンシューマー・マーケティング部長を務め、多様な企業の広報活動を担当。その後、欧州大手航空会社のブリティッシュ・エアウェイズにおいて広報部長およびマーケティング部長を歴任する。現在はアメリカン・エキスプレスの広報室長として社会貢献活動そして広報活動全般をみる。
――御社は、売り上げの一部を寄付するような新たなマーケティング手法、Caus
e Related Marketing(CRM)を世界で始めて導入した企業として紹介されることが多いか
と思いますが、それは自由の女神修復のためのキャンペーンでしたでしょうか。
そうです。1983年に自由の女神修復プロジェクトといいまして、クレジットカードを利用
すると、1回につき1セントを寄付するというプロジェクトでございました。
実際にはトラベラーズチェックですとか弊社が持っている旅行代理店の旅行パッケージ販
売も対象といたしました。その結果、3ヶ月で総額170万ドルの寄付をすることになりまし
た。
――大変な額ですね。この期間中の利用回数は通常時より伸びたのでしょうか。
大変伸びました。前年比でカードの利用額では28%増しでした。また、新規でカードを申
し込んでくださる方は45%も増えました。それだけ賛同してくださるお客様にアピールで
きたと思っております。
――御社としてはこのようなキャンペーンを実施することでイメージは上がるし、
お客様は増えるし、効果がありましたね。
そうですね。寄付額も大変多くなりましたので、キャンペーンとしても成功しました。
――そもそもこのような慈善活動は19世紀ごろから行っていると聞きましたが。
さようでございます。アメリカン・エキスプレスは大変古くからございまして(1850年創
業)、もともとは運送事業から始まっています。お客様の大事な財産であるお荷物をお預
かりしてお届けする宅配サービスです。
お客様のお荷物をお届けするサービスを行っていくなかで、旅行も仕事の一部となってい
きました。お荷物をお届けするだけではなく、旅行先または移住先でも使っていただける
サービスとして、為替を始めました。それがトラベラーズチェックとなり、さらに、クレ
ジットカード事業への進出となっていきました。
旅行に関わる業務をルーツとしておりますので、世界の失われつつある文化遺産ですとか、
歴史的遺産の保全や修復ということは、早い時期から行ってきたわけです。
――ホームページに世界中の危機に瀕した歴史的建造物を保護、修復していく「ワールド・モニュメント・ウォッチ」という活動をされており、これまでに1,000万ドルを提供してきたとありましたが、自由の女神修復もこの一環だったのでしょうか。
いいえ、「ワールド・モニュメント・ウォッチ」は歴史遺産の研究などを専門とするワー
ルド・モニュメント財団と協働したプログラムで、弊社はこの活動に賛同して資金提供を
しておりますが、自由の女神修復はこのプログラムの一環ではありません。弊社はワール
ド・モニュメント・ウォッチ設立スポンサーとして、1995年から約10年間で1,000万ドル
の支援を行ったのですが、今までに世界59ケ国、119ケ所の歴史的遺産の修復・保全に貢
献しています。
――日本でこれまでどのような支援を行ってきたのでしょうか。
日本では、例えば広島県の瀬戸内海、鞆の浦という江戸時代の港湾地区が残っている大変
珍しい場所がありますが、2004年にこちらの景観保全活動のために10万ドルを寄付してい
ます。また、今年は名古屋城本丸御殿の障壁画修復にも5万ドルの寄付をいたしました。
それ以外にも4カ国語で観光名所を案内をする観光掲示板を、鎌倉、奈良、浅草、神戸、
京都に作って寄付し、観光客の方々の旅行をサポートしています。
――なぜ、支援対象として歴史的建造物の保護・修復を選ばれたのでしょうか。
実際には、「多様な文化遺産の保護・修復」、「地域社会への貢献」、「明日のリーダー
育成」という3つのテーマを軸に様々な社会貢献活動をおこなっています。これは、アメ
リカン・エキスプレス全体として決まっている柱です。
文化遺産の保護・修復は、やはり旅行に関わる事業を行っておりますので、これを行うこ
とはアメリカン・エキスプレスにとっては重要なことと認識しております。
地域社会への貢献については、弊社は社員がボランティア活動をすることを推奨しており
まして、今年は日本において社員がボランティア活動を行っている12団体に会社として合
計約12,500ドル寄付しました。これは毎年続けています。
――素晴らしいですね!そもそも社会貢献をすることが社風の一つなんですね。
はい。「よき企業市民であること」ということが私たちの理念にあるんです。
――日本企業は、企業が慈善活動を行う際、株主への説明責任があるからと、寄
付金が出てきにくい環境にあるのが現状だと思います。例えば御社が行った1,000万ドル
の資金提供は大変な額だと思いますが、株主、または顧客は御社の活動をどのように考え
ているのでしょうか。
私どもは宅配便からクレジットカードまで事業変遷してまいりましたが、よき企業市民と
して社会貢献していくことを理念に掲げております。この理念は弊社の大きな魅力である
と思っております。
例えば第二次世界大戦の時に、ヨーロッパに取り残されてしまったアメリカ人を救出する
ためにヨーロッパの支社が活躍しました。利益のみを追求するということではなく、お客
様の視点でサービスを提供することをよしとする社風が弊社にはございます。
お客様の気持ちになってお客様の支援をするということは、カードや旅行為替の枠を大き
く出ることもあるんですが、枠を超えることでお客様の信頼を得ていくことができると思
うんです。信頼を得ることがビジネスの繁栄につながるということです。
――ありがとうございました。
アメリカン・エキスプレスはお客様に信頼してお使いいただけるブランドです。その信頼 をさらに確固たるものとするために、これからもよき企業市民としての活動を続けて行き たいと思います。
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