ホーム > 世 界を知ろう! > ピース・インタビュー 企業編 >株式会社レインボー・ジャパン/ 代表取締役社長 ケビン・マヤソン
結婚・出産・慶事などに「植樹という社会貢献」を贈るギフトが昨年日本で誕生した。
株式会社レインボー・ジャパンが販売している、「エコロギフト」だ。
プレゼントとしてエコロギフトを購入すると、ギフトを受け取る人の名前で植樹が行われ、「植樹証明書」が 贈り主のメッセージとともに届けられるという。
実際の植樹は日本ユネスコ協会連盟が行っており、株式会社レインボー・ジャパンはギフトの販売額(10,500円)の一部を日本ユネスコ協会連盟に植樹活動費として支払うというビジネスモデルだ。
日本では馴染みの無かった植樹の贈り物を、日本で初めてビジネスとして広めようと思い立ったきっかけとは。また、NGO/NPOをパートナーにするビジネスの可能性とは何か。エコロギフト発案者のケビン・マヤソンさんにお話を伺った。
文/山口恵里 取材/2008年4月4日

■ケビン・マヤソンさんのプロフィール
アメリカ、ミシガン州生まれ。1988年に来日し、1991年まで株式会社リクルートに在籍。1991年に株式会社レインボー・ジャパンを設立し、さらに2000年に株式会社レインボー・パートナーズを設立。2007年7月よりエコロギフトのビジネスを開始する。株式会社レインボー・ジャパン及び株式会社レインボー・パートナーズの代表取締役社長。
――植樹を贈るというエコロギフトを思いついたきかっけは何ですか?
元々、当社では紙や電気の使用量を減らしたり、製品をデジタル化するなどしてISO14001を取得し、環境活動には積極的な会社でした。そこで、もっと環境へのインパクトを数値化できるような、何か新しい活動はできないかな、と常々考えていたんです。
そんなとき、ある日曜の朝にCNNのエコ番組を見ていて、ふとあることが頭に浮かんできました。小学校6年生の誕生日に、おばあさんからもらった植樹証明書のことです。アメリカなどでは「植樹の日」があるくらい植樹はとても身近で、当時はもちろんのこと、植樹のギフトは100年も前からありました。
「この植樹のギフトを日本でも広められたら・・・しかも、ビジネスとしてやってみたらおもしろいんじゃないか。」そう思いついたのがきっかけでした。
ちょうど当社と同じビルに日本ユネスコ協会連盟の事務所があり、前々から知っていたユネスコのスタッフに相談を持ちかけたところ意気投合し、数ヵ月後にはエコロギフトが実現したのです。
――植樹のギフトは海外では以前からあったんですね。誕生日に植樹のギフトをもらったときは、どんな気持ちでしたか?
嬉しかったですよ。植樹された木は私が生きている間に同じように成長するし、私が死んでもずっと残るんだろうなぁと子どもながらに考えました。
――ところで、植樹をビジネスにするのは御社が初めてと聞いたのですが。
そうですね。2007年7月にこのビジネスを始めたのですが、日本でもアメリカでも営利活動でこうした植樹を行うのは当社が初めてだと思います。これから、こういったビジネスモデルが増えればいいなと思っています。
ただ、営利団体としてやっている以上、大変なこともあります。植樹をパートナーのNGO/NPOなどの団体にお願いしていくわけですから、経理上の管理だとか、実際に何本植えたのかとか、植樹までのプロセスなどを細かく把握しなければいけません。
逆に営利団体として行うメリットは、パートナーとして関わっていく中で、企業として持っている経営のノウハウをNGO/NPOなどの団体に伝えていけることです。また、一緒にビジネスを成功させることで、そうした団体自体の評価も上がり、最終的にはその団体への直接の支援者を増やすことができるのではないかと考えています。
――なるほど。NPOと協働するビジネスには可能性がありそうですね。エコロギフトでは白神山地の周りに植樹をしていますが、ここを選んだ理由は何ですか?
日本ユネスコ協会連盟では世界遺産の白神山地を守るために、その周りで植林活動を行っていました。周辺の国有林ではカラマツなど一種類の木しか植えていなかったところもあるので、いろいろな種類の木を植えて自然の森に戻していくという活動です。その活動内容を聞いて共感し、ここにしようと決めました。
――植樹だけではなく、植えた後の間伐や苗木の管理も行うのでしょうか?
はい、もちろんです。青森では何メートルも雪が降るので、雪につぶされないように苗木の横にくいを打ったり、紐で縛ったり、草をとったりというメンテナンスを行っています。
苗木を植えてから、どんなに少なくとも3年〜5年くらいは継続的な管理が必要だそうです。
――エコロギフトを実際に購入される方は、どんな方が多いですか?
個人と法人の割合で言うと、個人:法人=7:3くらいです。最近のトレンドとしては、法人がまとめて購入する場合が多くなってきています。例えば、お客さんや社員の出産祝い、結婚祝い、事務所の移転祝いなどでご利用いただいています。一番多いのは出産祝いですね。「木と一緒に成長する」という意味を込められますから。
――エコロギフトをもらった方から、植樹された場所を見に行きたいという声が出てくると思うのですが、植林ツアーの企画などは考えていらっしゃいますか?
見に行きたいという声はありますね。証明書には植樹された場所が詳しく書かれているので、実際に見に行こうと思えば行けるんです。ただ、植樹場所が急な斜面や沢があるような危険場所ですし国有林なので、入山するには許可が必要です。見に行きたい方は、植樹のときに私たちと一緒に行っていただければと思います。
植林のツアーについてはビジネスにすることは考えていないので、タイアップしたい企業があればご協力しますよ。
――エコロギフトを通じてご自身が学んだことってありますか?
自然の森の大切さですね。前回の植樹では、地元の植生を考えて、ブナ、ミズナラ、ヤマモミジなど7種類の木を植えています。自然に近い形の森をつくるためです。
もちろんスギやカラマツなど一種類の木をまとめて植えるのも、CO2を吸収するなど、環境には良いものだとは思います。
ただ、さまざまな種類の木が共存している自然の森では、土地の中の微生物が活発になり、もっと森が元気になります。さらに、森から川に流れ出た活発な微生物は、昆布などを元気にし、微生物を食べる魚たちも元気にするわけです。「森が元気だと海も元気になる」ということは、エコロギフトを通じて初めて知ったことでした。
最近美味しい魚が取れなくなっているようですが、その原因のひとつは森が元気じゃないからだと思います。北海道などでは漁師さんが木を植えているそうですが、寿司が好きな人は、ぜひ植林活動に参加した方がいいと思いますよ(笑)。
――今後どのようにこの事業を広げていきたいとお考えですか?
ギフトの種類を増やしたり、他の企業とタイアップして、エコロギフトをイベントなどでも利用してもらえるように広げていきたいです。将来的には、ギフトを贈る時には、3回のうち2回はお花で1回は植樹にするくらい日本で浸透してくれたらうれしいですね。また、植樹に関しては、白神山地以外の場所にも広げていくつもりです。
――日本でも植樹のギフトがもっと身近になるといいですね。本日はありがとうございました。
植樹は定期的に行っていて、次回は2008年6月に予定しています。植樹に興味をもっていただいた方は、ぜひ私たちと一緒に青森まで木を植えに行きましょう。皆さまとお会いできるのを楽しみにしています。
〜企業の方へ〜
企業で環境に良いことをしようとすると、どうしてもボランティアで行うことを考えがちです。でも、実は現在の事業の一部を改善したり、仕組みを少し工夫することで利益を上げながら持続可能な形で環境に良い影響を与えられる可能性があると思います。おもしろいアイデアがあればぜひトライしてみてください。そういった新しいビジネスが増えていくことを期待しています。
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