ホーム > 世界を知ろう! > ピース・インタビュー 企業編 >王子ネピア株式会社/ nepia千のトイレプロジェクト 齋藤 敬志
ティッシュやトイレットペーパーなど紙製品の製造メーカーのネピア。誰もが知っている国民的ブランドだ。王子ネピア株式会社の母体である王子製紙株式会社は明治6年に創業した、歴史ある日本の企業だ。その王子ネピアが東ティモールでトイレを建設するユニセフの活動をサポートする「nepia千のトイレキャンペーン」を開始した。期間中に対象商品を買うと、売上げの一部が東ティモールでのトイレ建設資金などになるキャンペーンだ。このように「商品を買うと寄付」できるモデルは「コーズ・リレーティッド・マーケティング(CRM)」と呼ばれ、以前紹介したアメリカン・エキスプレスがこのような手法のパイオニアと言われている。ついに日本の企業も動いた!nepia千のトイレプロジェクトの齋藤さんにお話を聞いた。
文/関根 健次 取材/2008年7月23日

■齋藤さんのプロフィール
1995年に王子ネピア鰍ノ入社。11年半の営業職を経て、現在のマーケティング部に配属となり、スタッフとして『千のトイレプロジェクト』を担当。
――「nepia 千のトイレプロジェクト」についてご紹介いただけますか。
簡単に言うと、キャンペーン期間中にネピアの主力商品であるティッシュペーパーやトイレットペーパーを買うと、売上げの一部がユニセフの東ティモールにおける「水と衛生に関する支援活動」の資金となるプロジェクトです。具体的にはユニセフが東ティモールで1,000個の家庭用トイレの建設と、15の学校のトイレ建設または修復を行うことを目的としています。同時に衛生習慣の普及と定着のための活動も行います。
――御社はなぜこのプロジェクトを始めたんですか。
まず、弊社はトイレットペーパーを作っている会社ですのでトイレ建設を行うということは、企業ドメインが一致しています。それから昨年から「うんち教室」という子どもたちに、いいうんちをして健康な身体をつくろうという健康教室を小学校で始めたんですが、この活動を通して、世界で毎年150万人もの子どもがトイレと水の問題で亡くなっているという現実を知ったんです。それで弊社も何かできないかと思い、始めました。
――なるほど。そもそもですが、東ティモールにはトイレが存在しないのでしょうか。
東ティモールでのトイレの普及率は、36%しかありません。ですからトイレを使う意味から啓蒙する必要があります。トイレを使うことで、下痢などの病気が防げることや、水源と用を足す場所は離して、水が汚染されたりしないようにしましょうね、ということです。
その次にトイレの建設ですが、住民に「トイレは必要ですか?」と質問します。必要とされない場所にトイレを作っても使わなくなってしまうんですよね。ですから理解を深めた上でトイレを作るということにしています。トイレ建設以前に、衛生習慣の普及と定着がとても大事なことなんですよね。
――なぜ東ティモールを選んだのですか。
王子製紙グループとして、アジアに事業を展開しておりますし、アジアでの植林活動に力を入れています。そんな関係や、同じアジアの一員として、アジアで困っている国があるなら助けたいと、アジアを選択しました。
それから、パートナーのユニセフさんからいただいたアジアの国々の資料を読んでいたら、トイレがなくて特に困っている国は東ティモールだったんですね。例えばベトナムやモンゴルなどは、トイレそのものを作る必要性は依然としてあるものの、衛生習慣を普及させていくほうに力をいれている段階でした。そういったことを知り、トイレの建物自体が普及していない東ティモールのほうが支援の必要性が高いと感じ、東ティモールを支援することを決定しました。
――目標とする寄付額はおいくらですか。7月から10月末までのキャンペーンですよね。
ユニセフさんへの寄付額は2,000万円を目標としています。目標金額を超えた場合も、その分も含めて寄付します。支援活動の進捗状況は、弊社のホームページでご報告していく予定です。
――実際には購入価格のいくらが寄付となるのでしょうか。
競合の関係もありますので公表することは控えています。キャンペーン終了後に寄付金額の総額をご報告させていただきます。
――対象商品は全国のスーパーなどで買えるんですよね。販売店の皆さんは、告知に協力してくれているのでしょうか。
販売店はすごく共感してくれています。POPなどを用いた告知については、販売店のご都合もあるので、必ずしも全店とは言えませんが、かなり多くの販売店にご協力いただいています。商品そのものにも告知をしていますので、キャンペーンのことは知ってもらえるようになっています。
――今回のプロジェクトの目的は純粋に社会貢献のためでしょうか。それとも利益も求めての実施だったのでしょうか。
最初は純粋に東ティモールにトイレがないからやろうと思っていましたが、今は利益を上げて、もっともっと活動を広げていきたいと考えていますね。プロジェクトの活動を広げて、東ティモールの衛生状況の改善をはかるには、お金が必要ですから。
――これまでの売上げの推移はいかがでしょうか。
昨今の原燃料の高騰のため、価格の見直しをさせていただいている状況を考えますと、順調に推移しております。
――パートナー団体であるユニセフとはどのように知り会ったのですか。
途上国におけるユニセフの活動実績が40年以上もあるので、支援を申し出ました。情報公開がしっかりしていますし。会ってみると弊社の「うんち教室」のことをご存じで、一緒にやってくださることになりました。
ユニセフさんにはいろいろ教わりました。最初こちら側は「いくらで何個のトイレができますか」という発想しか出来なかったのですが、数よりもトイレを使う意味を理解してもらうことが大事だということなどを一から教わったんですね。こちらとしてはこのようなキャンペーンやったことがありませんから、ユニセフさんから助けられながら進めましたね。ときどき叱られましたけど(笑)。
話しを聞いたり、資料を読んだりしているだけでは、全然理解できなかったのですが、現地に行ってみて、「なるほどな」と理解できました。そして、ユニセフは偉大だなとも思いました(笑)。ユニセフはすごい。
――このプロジェクトへのお客様やお取引先、社員の皆さん等からの反応はいかがですか。
最初のころ、社内からは少しだけ批判的な反応がありました。「業績不振なのになぜこのようなことにお金を使うのか」という意見がありました。一方、取引先はとっても良い反応をしてくれました。応援したいとか、こういうキャンペーンを待っていたとか。
今年4月にプロジェクトメンバーで東ティモールに視察に行きましたが、その報告会を社内でやると、社内も理解してくれ、「いいプロジェクトだね、応援しているよ」など声をかけてくれるようになりました。あと社員のモチベーションも上がりましたね。取引先から評価されたり、子どもから「お父さんの会社、いいことやってるね」なんて言われたりしますと、会社にいる意義を感じてもらえるんですよね。
――会社に対する誇りが生まれるんですよね。先日インタビューに伺った日本郵船さんも同じようなことをおっしゃっていました。来年も同様のキャンペーンを実施する予定でしょうか。
できれば実施したいと考えています。東ティモールは2002年に独立したばかりの国ですが、国民の約半数は貧困下にあり、まだまだ国際社会の協力を必要としています。そのためにも、このプロジェクトを持続可能とするため、私たちが何とか頑張らなければいけません。会社の業績は苦しく、広告予算をカットしている状況なんですが、このプロジェクトは頑張って続けていきたいと思います。
――ありがとうございました。
私たちは4月に東ティモールを訪問し、現地の人たちの切実な想いやこのプロジェクトに対する大きな期待を強く感じました。 「一人でも多くの子どもたちが健康で元気に暮らせる様に、子どもたちの笑顔を守るために」、まだ、始まったばかりの小さな歩みですが、みなさまのご賛同を頂き、大きな歩みにしていきたいと思っています。
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