ホーム > 世界を知ろう! > ピース・インタビュー 企業編 >森永製菓株式会社/菓子マーケティング部 ブランドマネジャー 櫻木 孝典
森永製菓と聞いて思い浮かべるものといえば、「森永チョコレート」や「ダース」。同社は “おいしく、たのしく、すこやかに”をビジョンに、「世界の子どもたちに貢献できる企業」を目指している。
その森永製菓が、初の国産チョコレート誕生90周年をきっかけに、チョコレートを1つ購入するたびに1円が世界の子どもの教育活動支援に寄付される「1チョコ for 1スマイル」を開始した。
毎回寄付金額は1000万円を超え、まさにチョコレートが世界の子どもたちの笑顔を生み出している。このプロジェクトの概要や、今後の展開について、担当の櫻木さんにお話を伺った。
文/小堤 音彦 取材2009年9月29日

■櫻木さんのプロフィール
大学卒業後、森永製菓株式会社に入社。小売業や卸売業への営業に携わった後、マーケティング部に異動。チョコレートのマーケティングを担当し、「1チョコ for 1スマイル」プロジェクトに携わる。
――「1チョコ for 1スマイル」プロジェクトの概要を教えて頂けますか。
年間の売上の一部を寄付するというのをベースに実施しています。その中で、さらに年2回の特別月間を設けて、対象商品を購入すると、1つのチョコにつき1円を教育支援のために寄付しています。2008年の10月は14,775,262円、2009年の4月は12,530,548円、合計27,305,810円の寄付金を届けました。特別月間中は、ウェブサイトの寄付金額を毎日更新しています。
――毎日更新していらっしゃるんですか!?大変ですね。
お買い上げ下さった方に「増えた金額の中に自分の1円が含まれている」と、感じて欲しいと思っています。自分のアクションが目に見えると、嬉しくなりますよね。「たまってる!たまってる!」という感じをお伝えしたいです。また、サイトだけでなく、ブログパーツも配布していまして、そちらの金額も変わる仕組みになっています。今年は、4月に既に特別月間を実施しましたので、次回は10月10日〜11月10日まで実施します。
――このプロジェクトが始まったきっかけは何だったのでしょうか。
森永チョコレート発売の90周年に合わせて、「何かの企画に取り組もう」というのがきっかけです。何をやるかといった時、私は、110年もの歴史がある森永製菓のDNA・風土の中に答えがあると考えました。当社は古くから社会貢献活動を実施していました。2003年からは「カレ・ド・ショコラ」を通した寄付を開始し、お客様から「私の好きなチョコレートが、教育支援につながっていてうれしい」という反応をいただいておりました。また、社会貢献活動に対するお客様からの支持はますます強くなってきているとも感じていました。そういった、当社のこれまでの活動とお客様のニーズが重なり合ったことで、今回の「1チョコ for 1スマイル」をはじめるに至りました。
――なるほど。御社の歴史の中に、今回のプロジェクトのヒントがあったんですね。ところで、「カレ・ド・ショコラ」を通しての支援活動も、「1チョコ for 1スマイル」も、プラン・ジャパンさんを支援していますが。
森永製菓は、“世界の子どもたちに貢献できる企業”を目指しています。この目標に向けてのビジョンを共有できる団体を探す中で、ご縁があってプラン・ジャパンさんと一緒に取り組むことになりました。パートナーシップを長続きさせるために重要なのは、パートナーのネームバリューよりも、理念を共有できることだと思います。もちろん、プラン・ジャパンさんはネームバリューもありますけどね。
――ブランド、ネームバリューよりも理念の共有が重要。他のNGOさんにとっても心強い言葉ですね。実際の支援プロジェクトは、2008年はフィリピンで、2回目はカメルーンで、そこを選んだ背景は何だったのでしょうか。
ゆくゆくは、カカオ生産地域の子どもたちの支援に集中したいと考えています。カカオ生産地域には、多くの課題が複雑に存在しています。この現状を皆さんに十分に理解していただいた上で、一人ひとりのアクションにつながると嬉しいです。
しかし、お買い上げいただくお客様とのコミュニケーションの深さが確立できない中で、課題について表層的な伝え方をしてしまうと、かえって誤解が生まれかねないとも思います。また、小冊子いっぱいに現状や課題を書いて、一方的に「この現状を知ってください!」といっても、コミュニケーションがなかなか成立しません。現状においては、WCF(世界カカオ財団)の支援活動に参加することで、複雑な課題(地域経済の活性化や児童労働の根絶 等)へのアプローチを続けています。
――消費者の方や、取引先の方々の反応はいかがですか。
個人の倫理観や問題意識によって反応が異なりますが、全般に良い反応をいただいています。取引先である小売業や販売店さんは、「今の時代、こういうことをやらないとお客様から支持されないんだなぁ」と理解して頂き、店頭でもプロモーションを展開して頂いています。
――このプロジェクトを実施していくにあたって、困難だったことはありますか。
ハードルが高いかなと思っていて、意外とすんなり受け入れられたことは、「社長にコミットしてもらう」ということでした。この取組みはマーケティングプランでありながらCSR活動の一環でもあります。通常のマーケティングプランであれば、ダメだったらすぐに中止することもあります。しかし、CSR活動の一環として取り組むからには、「1回やりましたが、売上がイマイチだったのでやめます。」というわけにはいきません。ですから、少なくとも数年間は続けることを前提に社長へ提案しなければいけなかったわけです。そして、役員会に提案したところ、「いいことだから、やろう!」と。目立った反対も無く、承認してもらいました。
――しかし、社長はもちろんですが、今回のプロジェクトを推進する櫻木さんにも、相当の覚悟が必要だったのではないでしょうか。
これまでの110年、企業文化として社会貢献に取り組んできたのですから、今こそしっかりとお客様に伝えるべきだと考えていました。昔は隠匿の美といいますか、あまりアピールしてこなかったのですが、今は時代が変わって来ていて社会貢献につながる商品(コーズブランド)を購入したいというお客様が増えています。マーケティングプランとしても、大きな可能性があるこのプロジェクトに、私自身はもちろん、会社としても信念の下に取り組んでいます。
――今後も数年間は続いていくと思いますが、どのようにキャンペーンを変化させていくご予定ですか。
もっと、コーズ(問題・課題)とのつながりを理解してもらえるような表現だったり、メッセージを発信していきたいですね。
――ありがとうございました!
森永製菓は、1918年に日本で初めてカカオ豆からチョコレートを一貫製造した会社です。以来、約90年にわたってチョコレートを通じて、おいしい笑顔をお届けしてきました。約90年間も子どもたちにお世話になってきたので、”今度はお返しする番だ!”なんて考えています。世界中が直面している問題は数多くあります。チョコレートだけで、何とかできる問題じゃないかもしれません。でも、できることからチョコっとずつ続けていこうと思っています。
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