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障害者の自立と社会的地位向上を支援する職業訓練校の現場から

ミャンマー(ビルマ)の障害者のための職業訓練校

活動団体

難民を助ける会

取材日

2005年7月

取材の目的

「NGOって具体的にはどんな活動をしているのですか?」こんな疑問にお答えするため、私たちイーココロ!メンバーは今回はミャンマー(ビルマ)で障害者自立支援のための学校を運営する難民を助ける会の活動現場を視察しました。ビデオ・写真と共に活動の様子をご報告します。

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障害者自立支援のための職業訓練校

障害者支援では、アジア太平洋地域の国々の中でも最も遅れた状態にあるというミャンマー(ビルマ)。国際NGO、難民を助ける会が2000年より首都ヤンゴンに障害者自立支援のための職業訓練校を運営しています。

この学校では地雷被害者や小児まひ(ポリオ)などによって障害をもった人を訓練生として受け入れ、洋裁または美容・理容の訓練を実施しています。どちらのコースも少ないの現金投資によって開業できること、そして短期間の訓練期間である程度のレベルに達することが可能なために多くの卒業生の自立を実現しているそうです。

「障害をもつ人々の経済的・精神的・社会的自立を支援する活動を通じて、すべての障害をもつ人々が平等に参加できる社会の実現を目指す」難民を助ける会の障害者自立支援の活動現場を取材しました。

政情不安と経済制裁が続くミャンマーでのNGO活動

ミャンマーでは1962年以来軍事独裁体制が続いています。1987年には国連によって後発開発途上国の認定を受け、1988年には民主化要求デモがあり、社会主義政権が崩壊しました。1990年に総選挙が実施され、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝しましたが、政府は選挙結果を無視。政権移譲を行いませんでした。国民民主連盟のアウン・サン・スー・チー氏は今も自宅軟禁下に置かれています。ミャンマーを非難する国連決議なども出され、欧米は同国に対して経済制裁を継続中です。

このように政情不安と経済制裁が続くミャンマーの首都ヤンゴンの郊外に、今回視察訪問した難民を助ける会の障害者職業訓練学校があります。中心部からおよそ車で北西に約30分。施設はミャンマー社会保険省から無償で提供された土地にあり、事務所、教室、寮といくつかの建物がありますが、これらは日本の郵政省のボランティア貯金、または外務省の草の根援助により建てられたとのことです。その他運営に関わる費用が支援者による寄付金によって充当されています。訓練校について、ミャンマー職業訓練校の責任者、横飛さんに訓練校のご紹介、ご案内をして頂きました。

この訓練学校では洋裁または美容・理容のコースを教えています。訓練期間はどちらのコースも3ヶ月半で受講料は無料です。対象はポリオの後遺症、交通事故などによる身体の障害を抱えている17歳から40歳までの男女です。両コース共に全寮制で短期間で学べるコースとなっています。寮生活という共同生活を通して協調性やリーダーシップを養う狙いもあるそうです。生徒数は各コース最大15名。1年に3期あるので合計90人の卒業生を輩出しています。

生徒募集には年に数回の新聞広告や、卒業生からの口コミ、隣接する障害者施設からの申込みなどで集めているそうです。訓練学校の運営スタッフはミャンマー人スタッフが14人。うち9人が障害当事者ですので、当事者の声を取り入れた運営がされています。

洋裁と美容・理容を訓練対象に選んだ理由は、開業する際の初期投資が少なくて済むからとのことです。卒業後は自宅で一人で開業する卒業生が多いとのことですので、最初に必要なのは材料、ミシンやはさみ程度となります。

生徒はミャンマー全国から集まっており、卒業生の大半は地元に戻り自宅でビジネスを始めるそうです。洋裁コースでは、足踏み式ミシンを採用して教えているために、田舎に帰り、電気が来ていないような場所でも開業できるそうです。美容・理容の生徒は、週に2回ほど僧院などで一般客を相手に実習を行うことで開業に備えます。クラスでの講義に加え、実際にお客を相手にすることで卒業後にすぐに働けるように力を付けていきます。

卒業後すぐに開業せず、さらにスキルを磨きたい生徒のためには、レベルアップするための機会も用意しています。美容・理容コースの生徒のためには、学校の近所のマーケットにモデル店舗をオープン。本当のお店での体験を積むことができます。洋裁コースの生徒のためには、学校内にモデルショップを開店しており、希望者はここで外部からの注文を受け、さらにスキルを磨くことができます。

視察を終えて

なぜ洋裁と美容・理容を教えるのだろう。よく考えてみれば分かるのですが、確かに開業するのにお金がさほどいらないのですね。実店舗を街中に大きく構えるなら別として、SOHOのように小さく始める分には少ない初期投資で済んでしまうのです。期間を三ヶ月半と短くしていることにも興味が沸きました。三ヶ月半で起業する。普通に考えると結構な勇気とやる気が必要なことです。それを障害者がやってのける。期間が短いだけに、やはり授業を受ける側も必死に学ぼうという意識が強くなるのだと思います。

残念ながら、ミャンマーには根強い障害者差別があるそうです。卒業生はこういった社会的にネガティブな風潮とも戦わなければなりません。障害者は、ビルマ語では「障害があるから『出来ない人』」というような意味があるそうで、障害者は仕事が何も出来ない人間だと周りから見られてしまうそうです。

このような差別の現実を卒業生がミャンマー中の町中で開業することや、モデル店舗で高い技術のサービスを提供することなどで、徐々に差別の現状を改善していく役割もこの訓練学校は担っています。成功の度合いは別にしても、卒業生が自立して現金収入を得られるようになること自体が、障害者の自信となっていっているのですね。

この職業訓練校からは、毎年90人の卒業生が社会に出て「出来る障害者」として活躍を始めています。この数は決して多いわけではありませんが、90 人の中からは教える立場に立って次の「出来る障害者」を育てる立場になる人もいますし、ミャンマー中で自立、開業を続ける障害者が与える社会へのインパクトは少なくないはずです。今現在も約30人の生徒が自立を目指し、勉強しています。これからどんどんと卒業生が自立を果たし、そして差別をなくすべく活躍されることを期待します。

現地スタッフ

教室の様子

モデル店舗スタッフ




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