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バングラデシュ ストリートチルドレン支援

活動団体

シャプラニール=市民による海外協力の会

取材日

2006年7月

取材の目的

北海道と東北地方を合わせたほどの国土に、1億4千万人以上(2004年)の人々が住むバングラデシュ。ガンジス河など水資源に恵まれ、肥沃な土地が広がっています。しかしその一方で度重なる洪水・サイクロンやヒ素汚染など自然環境面での問題が解決されていないほか、所得の低さなどの政治・経済的問題から「アジアの最貧国」と言われることもあります。

イーココロ!スタッフは、こうしたバングラデシュの首都ダッカを訪れ、シャプラニール=市民による海外協力の会によるストリートチルドレン支援の現場を視察しました。ストリートチルドレンが増え続けるという問題に対し、日本のNGOがどのような活動を行っているのか、少しでもみなさまにお伝えできればと思います。

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増え続けるストリートチルドレン

路上で生活する子どもたち「ストリートチルドレン」。文字通り、路上で物売りやゴミ拾い、時には売春などによって少ない現金を得て、路上で寝泊りする子どもたちがバングラデシュで増え続けています。
バングラデシュ政府の推計では、首都ダッカでは約33万人もの子どもたちが路上で生活しているそうです。国全体で見ると、2000年に約40万人だったストリートチルドレンが2005年には約50万人に増えたという調査もあるとのこと。バングラデシュでいかに深刻な問題であるかがわかります。

子どもたちが「ストリートチルドレン」になってしまう大きな原因は、やはり故郷での生活や家庭が貧しいことです。たとえばダッカのスラムに家族で暮らしていても、子どもの数が多く面倒が見切れないため、子どもに対して「路上で暮らしなさい」と言うようなケースもあるようです。

路上で生活する子どもたちは、常に危険と隣り合わせです。持っているものを守る手段がないため寝ている間に現金を盗まれたり、不衛生な環境のため病気になることも多くあります。最悪の場合は子どもたち自身が売買の対象にされてしまうこともあります。

青空教室で楽しい授業を

このようにバングラデシュでストリートチルドレンの問題が深刻化する中、シャプラニール=市民による海外協力の会は、2000年からダッカでの支援を開始しました。ストリートチルドレン問題で実績がある現地のNGO「オポロジェヨ・バングラデシュ」への資金的な支援や活動面でのアドバイスなどを行っています。

オポロジェヨ・バングラデシュとの協力体制で行っていることの一つが「青空教室(ストリートスクール)」です。青空教室とはストリートチルドレンに簡単な読み書きなどの授業を行う活動です。ただし、授業とはいっても難しいことを教えるのではなく、コミュニケーション能力を養うようなゲームを行うなど、子どもたちが楽しく参加できるような工夫がされています。

イーココロ!スタッフが青空教室を見に行った時は、「お絵かき」が行われていました。集まってくる子どもたち一人一人に鉛筆と紙を渡し、スタッフ(教師)が簡易な黒板に描いた魚の絵を真似して描いていました。

シャプラニールのスタッフは、このような青空教室での授業は子どもたちとコンタクトをとる最初のきっかけだと言います。子どもたちが青空教室に参加して徐々に大人に対する不信感をなくしていくことで、たとえば困ったときにはドロップインセンター(後述)に行こうという気持ちが芽生えるのだそうです。

青空教室の動画はこちら(47秒、3.4MB)

24時間安心できる場所

シャプラニールとオポロジェヨが行う、もう一つ大きな活動が「ドロップインセンター」の運営です。ドロップインセンターとは、ストリートチルドレンのためにシェルター(避難所)の役割を果たすとともに、家族と住んでいるのと同じような環境を与えることを目的として作られました。センターは24時間オープンしており、子どもたちはいつでも利用することができます。

私たちがセンターを訪れたとき、まず目に入ってきたのは広いスペースで遊んだり昼寝をしたりする子どもたち。毎日50人くらいの子どもたちがセンターを利用しているそうです。センターにはただスペースがあるだけでなく、シャワー、トイレ、女の子の部屋などもあり、子供たちがいつでも使えるようにしています。また、「給食室」もあり、一部を自己負担とすることで給食を出しています。その他ロッカーもあり、子どもたちの安全な生活が守られるような施設となっていました。

子どもたちはセンターで簡単な勉強ができ、同じような境遇の子どもたちと遊ぶことができるほか、女の子はミシン、男の子は看板描きのトレーニングを受けることができます。また、最近始めたのが内職として「紙袋」を作る活動です。バングラデシュでは環境汚染、排水溝の詰まりなどの問題でビニール袋が廃止されました。ここに目をつけ、古新聞を切り貼りして紙袋を作り地域のお店に売ることで、子どもたちがわずかながらも収入を得ることができるようになりました。この他にも子どもたち自身が人権について考えられるような研修を行ったり、自分達自身の人権について地域の人々に訴える「劇」を行うなどの活動を行っています。

ドロップインセンターの動画はこちら(57秒、4.0MB)

子どもたちの声 - インタビュー

このようなストリートチルドレンの支援は、子どもたちにとってはどう受け取られているのか。シャプラニールやオポロジェヨの支援を受けている子どもたちに簡単なインタビューを行いました。(通訳はシャプラニールのスタッフ)

青空教室に来ていたルックさん(仮名)は14歳の女の子。小さいころから足を患っており、松葉杖が手放せません。8歳くらいのころから、バスの乗客にお菓子を売る仕事をはじめました。日によって異なりますが、1日でだいたい150タカの売上で手元に残るのは70タカほどだと言います(※1タカ=約1.7円、2006年7月)。
ルックさんが路上生活をはじめたきっかけは義母からのいじめ・嫌がらせでした。また、稼いだお金をお父さんに取られてしまうことも多かったと言います。

そんな中、ルックさんは近くでやっていた青空教室に、ほとんど毎日来るようになりました。青空教室に来て一番良かったことを聞くと、「友達に会えることがうれしい」と答えてくれました。また、全然勉強できなかったので、ベンガル語が書けるようになったり、英語が覚えられたのがすごく嬉しいと話してくれました。
今、彼女は技術学校に通い始めました。染物の技術を勉強しており、半年間の学校を終えて卒業したら、学んだ技術を活かした仕事がしたいそうです。

農村開発 - シャプラニールのもう一つの活動

シャプラニール=市民による海外協力の会のバングラデシュでの活動は、1972年に農村部での活動からはじまりました。農村部の貧困はストリートチルドレンが増加する大きな要因ともなっているため、活動にはかなりの関連があります。今回、イーココロ!スタッフは活動そのものを見ることはできませんでしたが、お話を聞くことができたので、ご紹介します。

ダッカから車で1〜2時間ほど離れた場所にオフィスを構える現地NGO「PAPRI(Poverty Alleviation through Participatory Rural Initiatives)」。もともとシャプラニールの地域活動センターだったものが、1999年に現地のNGOとして独立しました。現在、シャプラニールはPAPRIをはじめ農村部で活動する3つの現地NGOに対して資金面での支援や活動のアドバイスなどを行っています。

農村部での支援の基本は、「ショミティ」と呼ばれる農民達の相互扶助グループへの支援です。バングラデシュではグラミン銀行の「マイクロクレジット(小規模融資)」が非常に有名ですが、PAPRIも農民のグループをつくり、融資を行うことで、収入向上の手助けを行っています。PAPRIは農村の中でもとくに社会的・経済的に弱い立場にあり、これまでショミティに入れなかったような人々への支援を重視しているそうです。PAPRIが行うマイクロクレジットでは、通常の金利は25%ですが、このような最貧層には7%として貸付を行っています。(PAPRIの予算の内、37%がシャプラニールからの資金、残り63%がPAPRI独自の予算ですが、独自の予算の大部分がマイクロクレジットによる収益とのことでした。)

この他、成人への識字教育や働く子どもたちへの補習学級など教育面、トイレや井戸を作るなど保健衛生面での支援も行っています。井戸についてはヒ素汚染が深刻な問題となっており、その対策も行っています。

視察を終えて

1972年にはじまったバングラデシュにおけるシャプラニールの活動は、30年以上を経て徐々に変わってきているようです。ストリートチルドレンの支援にしても、農村部での支援にしても、できるだけ現地のNGOなどを通し、できるだけ現地の人々自身の手で自立できるようにすることが必要となってきます。

今回感じたのは、シャプラニールの活動は、支援の現地化がかなり進んでいるということ。かなりの部分で活動が現地のNGOに移行しているように見えました。今後シャプラニールの活動がどのように変わっていくのかを期待するのと同時に、NGOの活動を長く行うことはとても難しいことのように感じました。

参考:

  • バングラデシュでの活動(シャプラニール=市民による海外協力の会)



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