一昨日(8月28日)、突然にかかってきた電話の向こうで友人は『ワリードが殺されたかもしれない。アイツかどうか、まだ確認が取れないが・・・」と戸惑いを隠せない。ワリードは、1999年4月から続けている私のイラク取材をずっと支えてくれた通訳であり友人である。一年前に「人質」となった高遠菜穂子さんを一時期サポートした大切な仲間だ。すぐさま出先から戻って、インテーネットでニュース検索すると、「内務省関係者はロイター通信に対し、「ハイアルアディル地区で警官2人が殺害された事件の取材のため移動中のロイター通信取材陣に対し、米軍が発砲。ワリード・ハレドの頭を撃って殺害し、ハイデル・カデムに負傷させた」と話した』と様々なメディアが報じている。そこにはワリード氏の写真も掲載されていた。写真を凝視した。「違った!」ほっとして方の力が抜けていくのが、自分で分かる。と同時に米軍への怒りと悲しみがない交ぜになった感情にとらわれる。イラクではこの間、同業者たちがどれほど米軍に殺され、暴力を振るわれ、拘束されてきたことか。日本人の友人も一週間近く拘束され、また別の友人は殴られ地面にねじり伏せられた。私自身も狙い撃ちされそうになったこともある。いや2003年4月8日、米軍戦車が私たち外国人ジャーナリストが宿泊するパレスチナホテルを砲撃し2名のジャーナリストを殺害した。それは私の5部屋隣に過ぎなかった。
その後も米軍の横暴は続くが、今年のイタリア人女性ジャーナリストへの銃撃(誤射?)のように大きく報じられることは少ない。どこかに米軍のイラク占領と、これを支持する小泉政権を擁護するバイアスがかかってのことなら、その報道姿勢は批判を免れないはずだ。
2005年8月31日記
1956年、静岡生まれ。フォトジャーナリスト。1983年よりパレスチナ問題の取材開始。92年より中東以外にもアジアやバルカン、アフリカなどの紛争地を巡り、そこに暮らす人々の日常を取材し、雑誌、新聞、テレビにて作品を発表。日本ビジュアルジャーナリスト協会(JVJA)会員。
著書に、写真集『イラク爆撃と占領の日々(岩波フォト・ドキュメンタリー世界の戦場から)』(岩波書店)、『イラクの子供たち』(第三書館)、『パレスチナの子供たち』(第三書館)、フォトドキュメント『難民の世紀〜漂流する民』(出版文化社)。
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