東南アジアの国々の中でも、ビルマ(ミャンマー)は民主化が最も遅れている。1963年に国軍がクーデターにより実権を握って以来、軍人が国民生活の全ての分野をコントロールする軍事政権下にある。情報は閉ざされたままだ。既得権益を手放したくない軍部は民主化を拒否し、ノーベル平和賞受賞者で民主化運動のリーダーであるアウンサンスーチーを、自宅軟禁下に置き民主化勢力や少数民族も弾圧している。
ここでは少数民族のカレン民族を紹介する。人口約4800万人の多民族国家であるビルマは、ビルマ族が人口の約6割を占め主に平野部に住む。シャン、カレン、カチン、チンなどの少数民族は、国境地帯の山間部に居住する。 ビルマ民族の大半は仏教徒だが、カレン民族は、カレン州と首都ヤンゴン南部のイラワディ・デルタ地帯に居住権が分かれる。平野部では仏教徒が多く、山地帯はキリスト教徒やアニミストが多い。
1949年1月、自決権を求めたカレン民族は、中央政府に対し武装蜂起した。それ以来、56年たった今でも内戦が続き、現在ではビルマ・タイ国境地帯を基盤に反政府武装勢力、カレン民族同盟が、自治権を要求し解放闘争を継続している。
長引く内戦で約12万人のカレン民族がタイ領内の難民キャンプで難民生活にある。また、カレン州内の山中を国軍の攻撃から逃げまどう生活を続ける「国内避難民」の数は数十万人と見られ、食糧不足、病気、危険と隣り合わせの困難な生活を強いられている。
戦いを好まず、自己主張しないのがカレン民族の特徴だ。野生象を生け捕り調教して、木材運搬などの仕事に使うのが得意。平和であれば、焼き畑や水田で米を作り、食べるための労働に忙しい。しかし、内戦で、若者は国軍の攻撃に対しゲリラ戦を戦かわざるをえない。難民キャンプでの生活は、不自由で希望がなく、カレン民族の闘いは国際社会から忘れられている。軍事政権との和平交渉は存続しているが、実質的には失敗している。
1953年長野県生まれ。アジアを主なフィールドとするフォトジャーナリスト。著書に、「フィリピン 最底辺を生きる」(岩波書店)、写真集「ビルマの子供たち」(第三書館)、「ビルマの大いなる幻影」(社会評論社)などがある。
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